臨床検査専門医の声
わたしは臨床検査専門医
(M医師)
私は40歳代女医。臨床検査専門医です。
検査の中でも「超音波検査」が専門です。
腹部・甲状腺・頸動脈・心臓・下肢静脈・その他皮下腫瘤などなんでもやります。
そんな私の1週間はこんな感じです。
曜日 | 午前 | 午後 |
---|---|---|
月曜日 | 超音波検査 | 超音波検査 |
火曜日 | 超音波検査 | 超音波検査 |
水曜日 | 超音波検査 | 超音波検査 |
木曜日 | 学生実習/超音波検査 骨髄判読 固定法判読 |
研究日 |
金曜日 | 外勤
(健診センター) |
外勤 (午前と同じ病院で超音波画像判読) |
土曜日 | 外勤(小児心エコー(月2回)) | 休み |
日曜日 | 休み |
超音波検査以外にも、骨髄判読・免疫固定法判読・学生実習(微生物検査担当)を行っています。
また、週3回、こども医療センターの超音波検査にも携わっています。
詳しく見ていきましょう。
- 月曜日〜水曜日:
-
月曜日~水曜日は1日中超音波検査です。主に技師・研修医指導です。
(1) まず研修医が一人で検査をします。
(2) 次に研修医が私(超音波専門医/指導医)に自分がとった所見をプレゼンテーションします。
(3) 次に私が検査をもう一度最初から行います。
このように、うちの生理機能超音波室の超音波検査はダブルチェックシステムで、超音波専門医/指導医でもある私は、研修医や技師がやった検査をチェックする、という仕事をしています。 - 木曜日[午前]
-
隔週で学生実習(BSL)です。
私の担当は「微生物検査」で、主にグラム染色を教えています。
また、木曜日は骨髄判読・免役固定法判読の当番です。
最近は、ボスが不在のときは非専門医が判読した骨髄像のチェックもさせてもらっています。(曜日問わず) - 木曜日[午後]:
-
研究日です。
超音波探触子は患者―患者間の細菌伝播に関係するのか、それを防ぐにはどうしたらよいか、またアルコール消毒で超音波探触子は破損するのか、そのような研究で2012年8月に学位を取得しました。
今は、細菌が作り出すバイオフィルムを超音波で破壊することによって、抗菌薬の効果を高めるための研究をしています。
中心静脈カテーテルをカテ感染のために抜去しなくてはならないことってありますよね。カテ感染は、細菌がバイオフィルムを形成し、抗菌薬の効果を減弱させるのです。そのため抜去せざるをえない状態になりますが、カテに超音波を照射することによって、バイオフィルムを破壊できないか、さらにはバイオフィルムの形成を阻害できないか、超音波照射によって、感染のためにカテを抜去する状態を回避できないか、日々模索しています。
細菌を培養しています。
バイオフィルムに超音波を照射しています - 金曜日:
- 外勤日です。
ある病院の健診センターで主に超音波画像の判読をしています。
私は腹部・甲状腺・乳腺など「なんでもできる超音波専門医(総合)」なので、健診の役には立っているのではないかと思います。 - 土曜日:
- ある病院でこどもの心エコーをしています。(月2回 午前のみ)
- 日曜日:
- 完全に休みです。
これが私の1週間です。
検査そのもののdutyは遅くとも18時には終わります。
それ以降、dutyはありません。自分の好きなことができます。
わたしは論文を書いたり、実験したり、症例を整理したり、学生の相手をしながら、19時~20時頃まで医局にいることが多いです。
身体が弱いので、体調不良の時は、dutyが終わったらすぐ帰ることもあります。
つまり・・・
臨床検査専門医は自分の自由な時間が比較的多いのです。
研究したい人は研究すればいいし、
子育て中の人は(男性医師も、ですよ)子育てに時間をかければいいし、
病気がちの人は療養に時間を使えばいいし。
非常に多様な働き方ができるのが「臨床検査専門医」だと思います。
受け持ち患者がいないので、1日の仕事が終われば「終わった」感があります。これは私の精神安定上、非常に重要なことです。
わたしは「超音波専門医」を取得してから、検体検査も勉強して「臨床検査専門医」になりました。またその後「超音波指導医」も取得しました。
「超音波検査」に興味をもたれる先生方は多いと思います。
研修医を指導しているとそう感じます。
「超音波検査」から「臨床検査」へ。そんな道もあります。
「臨床検査医ってなにしているの?」そんな疑問が多く聞こえてきます。そんな方で臨床検査医学に興味のある方は、お近くの臨床検査医に聞いてみてください。施設を見学してみてください。
多くの先生とご一緒に仕事ができることを楽しみにしています。