日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

第7回研修医・医学生のための臨床検査ハンズオンセミナー 開催報告

 臨床検査は日本専門医機構認定専門医制度の基本領域の一つです。臨床検査専門医は、疾患の診断、治療効果の判定、健康状態の把握にかかせない臨床検査の全般において、その品質の向上と維持に努め、適切かつ信頼性の高い検査を通して良質で安全な患者診療に貢献する専門医です。臨床検査(専門)医の業務は、多くの学生・医師にとってなじみの薄いものかもしれません。
 今年も、臨床検査(専門)医の仕事を知っていただき、さらに、臨床検査のおもしろさを広く医学生、若手医師の方々に触れていただくため、第7回臨床検査ハンズオンセミナーを開催しました。全国の多くの医学生、若手医師、学会員の先生方にご参加いただき、大変盛況な会となりました。  

概要
 主 催:日本臨床検査医学会 ワークライフバランス委員会、近畿支部
 共 催:日本臨床検査医学会教育委員会、日本臨床検査専門医会教育研修委員会、日本医師会女性医師支援センター
 日 時:2023年9月10日(日) 13時~17時半
 会 場:Webセミナー
 受講料:無料
 参加者:医学生8名、医師80名(うち研修医19名)

  プログラム

セミナーの様子 
1.開会の言葉
東京大学の西川真子先生の司会進行のもと、順天堂大学の田部陽子先生(日本臨床検査医学会副理事長)からご挨拶をいただきました。

2.講演1「臨床検査専門医のキャリアパス・大学病院の専門医業務紹介」
大阪公立大学の中前美佳先生から、臨床検査専門医の役割、キャリアパスについてご講演いただきました。実際の大学病院の業務やキャリアパスをお示しいただきながらのご講演は非常にわかりやすく、臨床検査専門医の魅力やニーズが伝わってきました。

3.講演2「市中病院の専門医業務紹介」
福山市民病院の眞鍋明広先生から、市中病院で働く臨床検査専門医の業務についてご講演いただきました。院内でのお仕事ぶりについてご紹介いただき、市中病院での様々な役割がよく伝わってきました。

4.腹部・心臓超音波検査セミナー
自治医科大学の鯉渕晴美先生、釧路孝仁会記念病院の赤坂和美先生、富山大学の原田健右先生、川崎医科大学の多田大和先生より、腹部超音波解剖の基礎、代表的な心臓超音波所見をご紹介いただきました。実際にエコーのプローブを当てながら、作図しながらのリアルタイムレクチャーは、実践的で大変分かりやすく、新しい形の超音波セミナーでした。

5.RCPC
信州大学の松本剛先生より事前にご提示いただいていた検査データから、スモールグループで病態についてのディスカッションを行いました。参加された医学生、若手医師の先生方にデータの解釈を発表いただきました。この発表をもとに、病態の解釈について鋭い議論が各グループで展開されました。いくつかのグループよりディスカッションの内容を発表いただいた後、松本先生より症例の解説をしていただきました。活発な議論を導いていただきました多くのファシリテーターの先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

6.閉会の言葉
奈良県立医科大学の山﨑正晴先生(日本臨床検査医学会近畿支部長)からご挨拶をいただきました。

7.臨床検査専門研修、臨床検査専門医についての質疑応答
虎の門病院の増田亜希子先生の司会のもと、臨床検査専門研修、臨床検査専門医についてのQ&Aが行われました。スモールグループでのQ&Aの後、自治医科大学の山田俊幸先生、田部陽子先生より、臨床検査専門研修プログラムや学会の考える方向性についてご紹介頂きました。今後、臨床検査専門医を目指されている方にとって、非常に有益な情報交換の場になったのではないかと思います。

セミナー後のアンケート集計結果
セミナー後に実施したアンケートでは、51.1%の方から「大変良い」、44.7%の方から「良い」と大変好意的にご評価いただきました。85.1%の方が今後もWeb形式での開催をご希望いただきました。
さまざまなご感想をいただきましたので、一部をご紹介いたします。
・非常に勉強になったうえ、楽しい時間だった。
・全てのセッションを通して新たな学びを多く得ることができた。
・プログラムが多岐にわたっており勉強になった。腹部超音波は難しかったがすごく上手に講義されていて参考になった。
・臨床検査医について深く説明頂き、またRCPCも勉強になった。
・臨床検査が広い領域をカバーする職務であることが上手く紹介できていた。

アンケートの集計結果は、今後の企画の参考とさせていただきます。 ご協力いただいた先生方、並びにセミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。