日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

第6回研修医・医学生のための臨床検査ハンズオンセミナー 開催報告

 臨床検査は、新専門医制度における基本領域の1つにもかかわらず、まだまだ臨床検査(専門)医という仕事には馴染みのない方が多いかと思います。
 今年も、臨床検査(専門)医の仕事を知っていただき、さらに、臨床検査のおもしろさを広く医学生、若手医師の方々に触れていただくため、第6回臨床検査ハンズオンセミナーを企画しました。昨年に引き続きWebでの開催となりましたが、全国の多くの医学生、若手医師、学会員の先生方にご参加いただき、大変盛況な会になりました。

概要
 主  催:日本臨床検査医学会 ワークライフバランス委員会、近畿支部
 共  催:日本臨床検査医学会教育委員会、日本臨床検査専門医会教育研修委員会、日本医師会
 日  時:2022年8月21日(日) 13時~17時
 開催形式:Webセミナー
 受 講 料:無料
 対  象:医学生、初期臨床研修医、若手医師
 参 加 者:医学生12名、医師84名(うち研修医17名)

プログラム

セミナーの様子
1.開会の言葉
東京大学の西川真子先生の司会進行のもと、杏林大学の大西宏明先生(日本臨床検査医学会理事長)からご挨拶をいただきました。

2.講演1「臨床検査専門医のキャリアパス・大学病院の専門医業務紹介」
順天堂大学の田部陽子先生から、臨床検査専門医の役割、キャリアパスについてご講演いただきました。実際の専門研修の内容や、具体例をお示しいただきながらのご講演は非常にわかりやすく、多様なキャリアパスが実現可能な臨床検査専門医の魅力が伝わってきました。

3.講演2「市中病院の専門医業務紹介」
静岡赤十字病院の朝比奈彩先生から、市中病院で働く臨床検査専門医のお仕事についてご講演いただきました。ご自身のこれまでのキャリアや、子育てとの両立しながらのお仕事ぶりについてご紹介いただき、さまざまな診療科から頼られる臨床検査専門医の魅力がよく伝わってきました。

4.RCPC
信州大学の松本剛先生より事前にご提示いただいていた血液検査データから、スモールグループで病態についての議論を行いました。松本先生の示されたディスカッションポイントについて、各グループに参加された医学生、若手医師の先生方からデータの解釈を発表していただきました。この発表をもとに、病態の解釈について鋭い議論が各グループで展開されました。議論を進めていくうちに、検査データから実際の患者さんの姿が浮かんでくるようで、非常に楽しいRCPCとなりました。いくつかのグループよりディスカッションの内容をご報告いただいた後、松本先生より症例の解説をしていただきました。医学生、若手医師の先生方の病態推論が、実際の病態に迫っていたことが分かり大変驚きました。 活発な議論を導いていただきました多くのファシリテーターの先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

5.血液形態セミナー
京都府立医科大学の稲葉享先生、虎の門病院分院の増田亜希子先生よりさまざまな造血器疾患の形態について、非常に鮮明な画像と共にご紹介いただきました。骨髄所見の見方の基本から、造血器疾患でみられる形態所見について、基本から大変分かりやすくご解説いただきました。動くアトラスのようなその講義は、頭の中がすっきり整理されるような非常に明快なものでした。

6.閉会の言葉
奈良県立医科大学の山﨑正晴先生(日本臨床検査医学会近畿支部長)からご挨拶をいただきました。

7.臨床検査専門研修、臨床検査専門医についての質疑応答
西川先生の司会のもと、臨床検査専門研修、およびさまざまな施設での臨床検査専門医の働き方についてのQ&Aが行われました。一口に臨床検査専門医や専門研修といっても、施設によって非常に多彩な内容であり、多くのご施設の先生からその内容をご紹介いただけました。今後、臨床検査専門医を目指されている方にとって、非常に有益な情報交換の場になったのではないかと思います。

セミナー後のアンケート集計結果
セミナー後に実施したアンケートでは、70.5%の方から「大変良い」、29.5%の方から「良い」と大変好意的にご評価いただきました。Webでのセミナーとなりましたが、70.5%の方が今後もこの形式での開催をご希望いただきました。
さまざまなご感想をいただきましたので、一部をご紹介いたします。
・医師の方に混ざって色々な議論をすることができ、大変貴重な機会であった。
・質問しやすく、活発な意見交換ができました。
・RCPCもあり、受け身でなく積極的に参加でき、大変勉強になり、有意義な時間をすごせました。
・複数の先生と議論する中で「こういった視点が医師としての能力を高める中で当たり前に持たなければならない視点なのだろう」という
感覚がつかめてよかったです。 ・勉強になる内容、かつWeb開催ながら参加者を近く感じることができた。
・普段あまりお話を聞く機会のない臨床検査専門医の先生方のお話を聞くことができ、将来の進路を具体的に考えられるようになりました。
・臨床検査専門医の職務内容の実態を中心に詳しく伺うことができた。
・質問しやすく、活発な意見交換ができました。

アンケートの集計結果は、今後の企画の参考とさせていただきます。 ご協力いただいた先生方、並びにセミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。