日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

第3回医学生・研修医のための臨床検査セミナー 開催報告

 臨床検査は日本専門医機構認定専門医制度の基本領域の一つです。疾病の診断や健康状態の把握に欠かせない臨床検査において専門性を有する臨床検査(専門)医の業務は重要ですが、未だ多くの学生・医師にとってなじみが薄いかもしれません。臨床検査(専門)医とはどういった仕事なのか、さらに臨床検査の ‟おもしろさ“ そして ”奥深さ“ を広くお伝えするため、2017年から学生や若手医師を対象とした臨床検査ハンズオンセミナーを開催して参りました。
  2024年から新たに臨床検査セミナーと改名し、引き続き好評だったWebセミナー形式で開催しました。またRCPCへの視聴参加が臨床検査領域講習(指導医講習)に認められ、本年も全国より多くの医学生、若手医師、学会員の皆様にご参加いただき大盛況でした。多くのご参加、ありがとうございました。

概要
 主 催:日本臨床検査医学会 ワークライフバランス委員会、東海・北陸支部
 共 催:日本臨床検査医学会 教育委員会、日本臨床検査専門医会 教育研修委員会、日本医師会
 日 時:2026年9月27日(日) 13時~17時
 会 場:Webセミナー
 受講料:無料
 対 象:医学生(5、6年生)、初期臨床研修医、臨床検査専攻医、転科や臨床検査専門医取得を検討中の医師
 参加者:医学生5名、医師80名(うち初期研修医8名、臨床検査専攻医7名)、臨床検査技師4名

  プログラム

セミナーの様子
1.開会の言葉
静岡赤十字病院の朝比奈彩先生の司会進行のもと、東京大学の西川真子先生からご挨拶をいただきました。

2.講演1「臨床検査専門医のキャリアパス・大学病院の専門医業務紹介」
藤田医科大学の伊藤弘康先生からは、基礎医学と臨床医学の橋渡し役を担う臨床検査専門医の魅力についてご講演いただきました。コンサルテーションや検査結果の解釈、ICT/ASTを通じた感染症対策、検体検査管理加算やISO15189といった病院経営への貢献に加え、大学での診療・研究・教育まで、全診療科と連携しながら活躍できる多彩な業務をご紹介いただきました。他科からのダブルボードや女性医師の柔軟な働き方など、多様な背景を持つ医師が活躍できることや、AIや次世代シークエンサーといった将来性、仕事と生活が相乗効果を生む「ワークライフシナジー」も紹介され、専門医の強みと可能性を実感できるご講演でした。

3.講演2「市中病院の専門医業務紹介」
鈴鹿中央総合病院の村田哲也先生より、臨床検査専門医・病理専門医・細胞診専門医・ICDとしてのご自身のキャリアのご紹介と共に、精度管理、パニック値対応などの管理運営をはじめ、教育業務や学術面でのサポート、各科カンファレンスでのコンサルテーションなど、市中病院での多方面にわたる取り組みをお話しいただきました。また、「臨床検査専門医の視点を得ることで病理専門医としての視野が広がる」という先生ならではの臨床知見をお示しいただき、横断的なアプローチの魅力についても学ぶ機会となりました。

4.RCPC
信州大学の松本剛先生より事前にご提示いただいた検査データをもとに、小人数でのグループに分かれ、病態についてのディスカッションを行いました。参加された医学生、若手医師の先生方にはそれぞれ事前にお願いしていた担当の検査項目についての解釈を発表していただきました。それらを元にグループ内でさらなるディスカッションが行われ、より深い病態解釈が進みました。3つのグループよりディスカッションの内容を発表いただいた後、松本先生より症例の解説をしていただきました。活発な議論を導いていただきました多くのファシリテーターの先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

ファシリテーター:
赤坂和美(釧路孝仁会記念病院)、朝比奈彩 (静岡赤十字病院)、荒井智子(慶應義塾大学病院)、
大石沙織(聖隷健康サポートセンターShizuoka)、大山陽子 (鹿児島大学)、中村正樹 (北里大学)、
原田健右(富山大学附属病院)、眞鍋明広(福山市民病院)、山口宗一 (鹿児島大学)、山本正樹 (京都大学)  

5.臨床検査専門研修・臨床検査専門医についての質疑応答
朝比奈先生の司会のもと、臨床検査専門研修・臨床検査専門医についてのQ&Aが行われ、臨床検査専門医の先生方よりご回答いただきました。実際に検査医として従事されている先生方のお話は、臨床検査専門医を目指されている方にとって、臨床検査医のイメージをつかむ貴重な機会になったと思います。
臨床検査専門研修・臨床検査専門医に関する問い合わせは、本学会ホームページのQ&A、本学会の専門医相談・サポートセンターもご活用ください。
Q&A | 日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

問合せフォーム

6.血液凝固検査について知っておいた方が良いこと
愛知医科大学の中山享之先生より、血液凝固検査について質問形式で分かりやすくご講演いただきました。ご自身の血液内科医としてのキャリアや、検査部・輸血部・細胞治療センターを含む検査部門の業務紹介に続き、一次止血・二次止血の仕組みを臨床症状も交えてわかりやすく解説していただきました。フォン・ヴィレブランド因子、血小板、凝固因子の分子構造から止血メカニズムを学び、クロスミキシングテスト、TAT、Dダイマーなど凝固の検査項目の意義についてもご紹介いただき、理解を深める機会となりました。

7.閉会の言葉
中山享之先生(愛知医科大学)からご挨拶をいただきました。

セミナー後のアンケート集計結果
セミナー後に実施したアンケートでは、54%の方から「大変良い」、41%の方から「良い」と大変好意的にご評価いただきました。
さまざまなご感想をいただきましたので、一部をご紹介いたします。
・いずれの講演内容も大変勉強になった。医師として検査値の深い解釈の仕方を教授してもらった。
・RCPCや凝固のお話も分かりやすく大変学びになった。
・事前の自己学習から、今回のセミナー全体まで貴重な体験となった。
・大変勉強になった。思考の過程も見えてよかった。
・キャリアの多様性がわかった。
・臨床検査専門医という資格と、その将来性についてよくわかった。

アンケートの集計結果は、今後の企画の参考とさせていただきます。 ご協力いただいた先生方、並びにセミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。